お父さん、私はあなたの娘です
歯科助手から医療事務に転職して二週間。
元々要領が悪い上にパソコン操作が苦手…
デスクワークには致命的である。
歯科治療の知識云々よりも、業務の基本でいきなりつまずき、毎日残業で家でも勉強。
頭ばかり冴え、熟睡出来ず。
そんな日々に疲れ果て、久しぶりに着物を着る予定だった今週日曜のお茶会への参加を断念。
昼過ぎにようやく起きて洗面所へ向うと、両親の部屋からボソボソ声が聞こえる。
それは「話し声」というより、ひらがな一文字一文字をゆっくり読み上げているような…
わかった!
少し構音障害のある父が、ことばのリハビリをしていたのだ。
父が脳卒中で倒れたのは、八年前のことである。
今では父自身も意識してゆっくり話せば、言っていることが百パーセント理解出来る。
電話応対も出来ているのに、今なおこうして日々リハビリに励んでいたなんて…尊敬を通り越し、畏怖の念を抱く。
同時に、自分の情けなさが恥ずかしくなった。
次の瞬間、私は勢い良く浴室に飛び込んで顔と髪を洗い、階段をかけ上がって着物の箪笥を開けた。
この時脳裏に浮かんでいたピンクの鮫小紋と、桜の花びらが刺繍された九寸なごや帯を引っ張り出し、引き出しから帯揚げと帯締めを一瞬の判断で選び取った。
そのおよそ40分後、お茶会終了時刻ギリギリに、私は松本城で師匠と対面したのである。
この続きはこちら
↓
http://toshikosama.blog45.fc2.com/blog-entry-1152.html
元々要領が悪い上にパソコン操作が苦手…
デスクワークには致命的である。
歯科治療の知識云々よりも、業務の基本でいきなりつまずき、毎日残業で家でも勉強。
頭ばかり冴え、熟睡出来ず。
そんな日々に疲れ果て、久しぶりに着物を着る予定だった今週日曜のお茶会への参加を断念。
昼過ぎにようやく起きて洗面所へ向うと、両親の部屋からボソボソ声が聞こえる。
それは「話し声」というより、ひらがな一文字一文字をゆっくり読み上げているような…
わかった!
少し構音障害のある父が、ことばのリハビリをしていたのだ。
父が脳卒中で倒れたのは、八年前のことである。
今では父自身も意識してゆっくり話せば、言っていることが百パーセント理解出来る。
電話応対も出来ているのに、今なおこうして日々リハビリに励んでいたなんて…尊敬を通り越し、畏怖の念を抱く。
同時に、自分の情けなさが恥ずかしくなった。
次の瞬間、私は勢い良く浴室に飛び込んで顔と髪を洗い、階段をかけ上がって着物の箪笥を開けた。
この時脳裏に浮かんでいたピンクの鮫小紋と、桜の花びらが刺繍された九寸なごや帯を引っ張り出し、引き出しから帯揚げと帯締めを一瞬の判断で選び取った。
そのおよそ40分後、お茶会終了時刻ギリギリに、私は松本城で師匠と対面したのである。
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『前夜祭』を禁じる生き方
就業前の春休み最後の今日は、春分の日。
連日の夜更かし→朝寝坊という悪習慣を打破すべく、早めに起きておはぎを作った。
仏壇にお供えし、家族皆で手を合わせるのが我が家の彼岸の慣わしだ。
家族が「おいしい、おいしい」と言って食べてくれる間も、寝不足で頭痛がする。
初出勤に必要な準備は、昨日までに整えてある。
今夜は早めに休もうと、夕方早々にお風呂に入った。
湯舟につかって微睡んでいると、突然あることに気が付いた。
もうひとつの彼岸の慣わし、玄関に季節の花を飾ることを忘れていたのである。
さて、どうしよう。
これから買いに行こうか。
いや、湯冷めをして出勤初日に風邪でも引いたら大変。
それに今現在は無収入の身であるし、今後の収入もこれまでより大幅に減る。
かき集めて用意したお金で買ったお花を飾っても、仏様はお喜びにならないであろう・・・
生きている人間の都合良い解釈ではあるが、仏様にはこうご勘弁願うことにして、後日改めて飾ることにした。
お風呂から出て、明日の持ち物・服装を再確認していると、またしても忘れていたことを思い出した。
昨日冬物の衣類を整理していた時、長年「これはもう着ないだろう」と思いながら放置しておいた衣服を、資源物に出そうと段ボール箱にまとめて入れておいた。
「(例えサイズが合わない衣服でも)何かを捨てるときは、必ずお母さんに見せて!」
が口癖の母に今日見てもらおうと思っていたが、一日思考能力がゼロで完全に忘れていた。
まあいい、また別の日にしよう。
明日から新しい仕事に就くからと言って、何もかも今日中に片を付けておく必要はない。
明日は今日の続きであり、明後日は明日の続きである。
『無理をせず、細く長く』
それが【継続】の極意だ。
お恥ずかしい話だが、過去に私はとあるイベントの前夜祭で調子に乗り過ぎ、肝心の翌日に二日酔いで非常に惨めな思いをしたことがある。
二度とあんな思いはすまいと、心に誓ったのだ。
それが今こうして生かせているということは、あの経験も無駄ではなかったと安堵している。
連日の夜更かし→朝寝坊という悪習慣を打破すべく、早めに起きておはぎを作った。
仏壇にお供えし、家族皆で手を合わせるのが我が家の彼岸の慣わしだ。
家族が「おいしい、おいしい」と言って食べてくれる間も、寝不足で頭痛がする。
初出勤に必要な準備は、昨日までに整えてある。
今夜は早めに休もうと、夕方早々にお風呂に入った。
湯舟につかって微睡んでいると、突然あることに気が付いた。
もうひとつの彼岸の慣わし、玄関に季節の花を飾ることを忘れていたのである。
さて、どうしよう。
これから買いに行こうか。
いや、湯冷めをして出勤初日に風邪でも引いたら大変。
それに今現在は無収入の身であるし、今後の収入もこれまでより大幅に減る。
かき集めて用意したお金で買ったお花を飾っても、仏様はお喜びにならないであろう・・・
生きている人間の都合良い解釈ではあるが、仏様にはこうご勘弁願うことにして、後日改めて飾ることにした。
お風呂から出て、明日の持ち物・服装を再確認していると、またしても忘れていたことを思い出した。
昨日冬物の衣類を整理していた時、長年「これはもう着ないだろう」と思いながら放置しておいた衣服を、資源物に出そうと段ボール箱にまとめて入れておいた。
「(例えサイズが合わない衣服でも)何かを捨てるときは、必ずお母さんに見せて!」
が口癖の母に今日見てもらおうと思っていたが、一日思考能力がゼロで完全に忘れていた。
まあいい、また別の日にしよう。
明日から新しい仕事に就くからと言って、何もかも今日中に片を付けておく必要はない。
明日は今日の続きであり、明後日は明日の続きである。
『無理をせず、細く長く』
それが【継続】の極意だ。
お恥ずかしい話だが、過去に私はとあるイベントの前夜祭で調子に乗り過ぎ、肝心の翌日に二日酔いで非常に惨めな思いをしたことがある。
二度とあんな思いはすまいと、心に誓ったのだ。
それが今こうして生かせているということは、あの経験も無駄ではなかったと安堵している。
次の世代へ
新聞の『おくやみ』欄で以前勤めていた歯科医院の患者さんの名前を見つけ、若すぎる死を悼んでいた翌日、またしても同欄で知人の訃報を知った。
大切な友達のおばあちゃんである。
友達とは5年以上会っていないが、その頃からあまり体調がよくないという話は聞いていた。
喪主は、友達の父親の名前になっていた。
『光二』(仮名)の『光』という字が彼の妹の名前に付けられ、『二』という字は弟に付けられているのに、オレは・・・
↑
いつかこんな風にいじけて(?)話してくれた記憶がある。
毎年友達の誕生日には【ご家族一同様】宛で手作りのケーキを贈っているが、おばあちゃんも食べてくれていたとのこと。
今年は数を減らした方がいいのだろうか・・・
いや、その必要はない。
彼の妹の子供達が大きくなって食べ盛りかもしれないから、むしろ多めに贈ろうか。
おばあちゃんの血は、こうして孫子の代へ受け継がれていく。
だから「死」は悲しいばかりではない。
私も今日、久し振りに大切な友達との心地良い思い出に浸ることが出来た。
故人のご冥福を、心よりお祈りいたします。
大切な友達のおばあちゃんである。
友達とは5年以上会っていないが、その頃からあまり体調がよくないという話は聞いていた。
喪主は、友達の父親の名前になっていた。
『光二』(仮名)の『光』という字が彼の妹の名前に付けられ、『二』という字は弟に付けられているのに、オレは・・・
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いつかこんな風にいじけて(?)話してくれた記憶がある。
毎年友達の誕生日には【ご家族一同様】宛で手作りのケーキを贈っているが、おばあちゃんも食べてくれていたとのこと。
今年は数を減らした方がいいのだろうか・・・
いや、その必要はない。
彼の妹の子供達が大きくなって食べ盛りかもしれないから、むしろ多めに贈ろうか。
おばあちゃんの血は、こうして孫子の代へ受け継がれていく。
だから「死」は悲しいばかりではない。
私も今日、久し振りに大切な友達との心地良い思い出に浸ることが出来た。
故人のご冥福を、心よりお祈りいたします。
象徴
2011年3月11日に起きた東日本大震災から、今日でちょうど1年。
14時46分。
私が買い物をしていたスーパーでも、黙とうが行われた。
会計を済ませて袋詰めをしていた手を止め、目を閉じた。
店内一斉に静まりかえったその時、小さな女の子の「おかあさーん」という声と共に、パタパタという元気な足音が耳に入ってきた。
とっさに私の脳裏には、日本国民の誰もが知っている日曜のアニメに登場する「ママー」という【タラちゃん】の声とともに、ドラマ版でも見事に挿入されていた、あの【走る音】が浮かんだのである。
おかあさーん
ママー
こう叫びながら、繋いでいた手が離れてしまった親子。
無事再会し、抱き合った親子。
私の知らない所で、幾千もの出来事が実際に起こっているだろう。
心臓のバイパス手術を終えられたばかりの天皇陛下も、本日政府主催の追悼式典に出席され、お言葉を述べられた。
『天皇は日本の象徴である』
ならば、今日スーパーで元気に走り回っていた女の子・・・つまりサザエさんの息子
『タラちゃんは日本の未来の象徴である』
14時46分。
私が買い物をしていたスーパーでも、黙とうが行われた。
会計を済ませて袋詰めをしていた手を止め、目を閉じた。
店内一斉に静まりかえったその時、小さな女の子の「おかあさーん」という声と共に、パタパタという元気な足音が耳に入ってきた。
とっさに私の脳裏には、日本国民の誰もが知っている日曜のアニメに登場する「ママー」という【タラちゃん】の声とともに、ドラマ版でも見事に挿入されていた、あの【走る音】が浮かんだのである。
おかあさーん
ママー
こう叫びながら、繋いでいた手が離れてしまった親子。
無事再会し、抱き合った親子。
私の知らない所で、幾千もの出来事が実際に起こっているだろう。
心臓のバイパス手術を終えられたばかりの天皇陛下も、本日政府主催の追悼式典に出席され、お言葉を述べられた。
『天皇は日本の象徴である』
ならば、今日スーパーで元気に走り回っていた女の子・・・つまりサザエさんの息子
『タラちゃんは日本の未来の象徴である』
お母さんがテレビに出た!! 第四章
お母さんがテレビに出た!! 第三章
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の続きです
母「兄ちゃんに何とかしてもらえないかや?」
私「そのパパとさっきまで電話で『モデムの電源切ってみ』とか『古いパソコンに繋いでみ』とか言われた通りにイロイロやってたんだけどね、ウンともスンとも言わなくて『いよいよイカれたかな』だって…」
父「………(長い沈黙)。ほじゃ、残念だが今年は手書きで出すだな。今ココで内容について揉めてたって、出口が塞がってりゃどーにもならんじゃねぇか。数字は、わりーがお前(母)書いてくりや」
母「それはいいよ。でも、やーだそれなら最初っから手書きにすりゃ良かったじゃん。わびだって、ガーゼ折ったり自分の仕事があるだに」
私「スミマセンね〜、何の役にも立たなくて」
父「いや、それは違う」
母「やーだ、そんなことないよ」
(二人同時)
父「わびにとっちゃ、三時間かけてやったことが無駄になったわけだで、気の毒だが」
私「いやいや、そんなことはいいんだけど…期待に答えられず申し訳ない」
父「あんな、松本市の地震に関する雑損控除については、詳細が出たのは12月で、おっ母が説明聞きに行ったのが先週だでな。パソコンから国税庁の既成のページに数字を打ち込んでいくと、いろいろ食い違いが生じるってことじゃないかとお父さんは思うよ。悪かったな」
母「やーだ、両方で『悪い、悪い』言ってるじゃん。アハハハハ」
あはははは…
私も力なく笑って両親の部屋を出た後、お風呂に入った。
湯船につかりながら、我が家って平和だよなとぼんやり思った。
今月いっぱいで失業する我が身。
来月からは日々の食事作りを買って出て、両親と一緒に食べよう。
しばし私は【無職】になるのではない、【家事手伝い】になるのだ。
この入浴中、携帯に兄からまた着信があった。
この先は、もうひとつのブログ=日記に続きます
↓
人生初の解雇は、軌道修正の始まりだった 7
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母「兄ちゃんに何とかしてもらえないかや?」
私「そのパパとさっきまで電話で『モデムの電源切ってみ』とか『古いパソコンに繋いでみ』とか言われた通りにイロイロやってたんだけどね、ウンともスンとも言わなくて『いよいよイカれたかな』だって…」
父「………(長い沈黙)。ほじゃ、残念だが今年は手書きで出すだな。今ココで内容について揉めてたって、出口が塞がってりゃどーにもならんじゃねぇか。数字は、わりーがお前(母)書いてくりや」
母「それはいいよ。でも、やーだそれなら最初っから手書きにすりゃ良かったじゃん。わびだって、ガーゼ折ったり自分の仕事があるだに」
私「スミマセンね〜、何の役にも立たなくて」
父「いや、それは違う」
母「やーだ、そんなことないよ」
(二人同時)
父「わびにとっちゃ、三時間かけてやったことが無駄になったわけだで、気の毒だが」
私「いやいや、そんなことはいいんだけど…期待に答えられず申し訳ない」
父「あんな、松本市の地震に関する雑損控除については、詳細が出たのは12月で、おっ母が説明聞きに行ったのが先週だでな。パソコンから国税庁の既成のページに数字を打ち込んでいくと、いろいろ食い違いが生じるってことじゃないかとお父さんは思うよ。悪かったな」
母「やーだ、両方で『悪い、悪い』言ってるじゃん。アハハハハ」
あはははは…
私も力なく笑って両親の部屋を出た後、お風呂に入った。
湯船につかりながら、我が家って平和だよなとぼんやり思った。
今月いっぱいで失業する我が身。
来月からは日々の食事作りを買って出て、両親と一緒に食べよう。
しばし私は【無職】になるのではない、【家事手伝い】になるのだ。
この入浴中、携帯に兄からまた着信があった。
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人生初の解雇は、軌道修正の始まりだった 7

